WHITE NOTES

主にトッテナムホットスパーの分析

16-17シーズン始動と展望

激動の15-16シーズンを終え、ユーロ2016を挟んで迎えた16-17シーズン。

・補強、放出

昨シーズンを通しての課題であった選手層の薄さが最重要の改善点であったが、ヴィクター・ワニャマとフィンセント・ヤンセンという実力者2枚の補強に成功した。

この2人が加わったことで選手のバランスはかなり良くなった。これから必要になる人材はサイドで個の勝負を仕掛けられるドリブラーアルデルヴァイレルトエリクセンそれぞれの控えだが、アカデミーからの抜擢で解決できる問題でもありそうだ。

 

プレシーズンマッチ

毎シーズン開幕前に行われるプレシーズンマッチはそのシーズンで監督がやりたい事が見え、試したい選手が多く起用されることが多い。

スパーズはユベントスアトレティコという格上の2チームと対戦した。

目立ったのはやはりアカデミーの選手。左サイドバックで突破を仕掛けたミラー、ボランチで何度も有効な配球をしていたウィンクス、センターバックでの競争に加わる実力があるのを証明したビッカース、弱冠17歳ながらトップチーム契約を勝ち取ったエドワーズあたりは十分なアピールができたのではないか。

新加入となったヤンセン、ワニャマもデビューしたが、特にワニャマは良い意味で裏切られた感がある。フィジカルを活かしたタックルも勿論、インテリジェンスが求められるビルドアップでのポジショニング、CBとボランチを操る配球能力、展開と縦パスのバランス等万能なプレーが目立っていた。当初はダイアーの相方役としての補強だと思っていたが、アンカーとしての起用でも活躍できそうだ。

ヤンセンは主に1タッチでのポストプレーが印象にあり、期待通り1トップのフォワードらしいプレーだったと思う。常時トップでポイントを作る選手が増えたのはかなり大きい。ラメラ、デレアリ、エリクセン、ソンフンミンはいずれもバイタルエリアで前を向いての仕事に長けるが、最前線の潰れる仕事はケインに依存していた面は否めなかった。それ故にヤンセンの存在は枚数以上の効果がある。最前線だけでなく広い範囲でプレーするのを好むケインとの同時起用は新しいオプションを増やす可能性もある。

 

・16-17シーズン展望

昨シーズンのレギュラー11人でのサッカーはほとんど完成しており、修正するとするならサイドでの起点を増やすこと。安定した2バック+2ボランチでのビルドアップ、両サイドバックのオーバーラップと前4人の超流動的な定位置攻撃、ハイプレスからのショートカウンターポチェッティーノが志向するビジョンが見えた1年であった。

今シーズン、新しくオプションとして加える可能性がある戦術を述べてみる。

まずは3バック。両サイドバックをオーバーラップさせる現行の戦術はどうしてもカウンターに弱い側面と、サイドの起点をSBが上がるまで作りにくい側面の二つの弱点がある。3バックとサイドアタッカーの起用で前線の枚数と予防的マークの両方のバランスをとることが可能になる分、試す価値はある。

次に3センターの導入。昨シーズンまでは一貫して2ボランチエリクセンがサポートする形をとっており、ラメラ、デレアリがサポートする時はエリクセンが2列目の仕事をするシーンが多かった。

しかし、ボランチの控えとして計算されているトムキャロル、メイソン、デレアリは2センターで起用する選手では無いのが現状のジレンマ。ダイアー、デンベレ、ワニャマ以外の選手で戦う試合は中盤に3枚並べるのも現実的な戦略ではないか。

4-2-3-1を更に向上させるとすると、サイドバックサイドハーフの役割整理が挙げられる。サイドバックが中へ絞ったり、3バックに変形してバランスをとる(昨シーズンから試してはいた)。サイドハーフが中に絞るだけでは無くサイドに張って、縦への突破をレパートリーに加える。ラメラ、ソンフンミン、デレアリは縦への突破ができる能力はあると思う。勿論中央でのプレーを得意としているのも分かるが、時には個での突破も有効な選択肢として持っておいて欲しい。

 ・目標

リーグはCL権獲得。優勝争いができればベスト。

CLはベスト8。